
日系企業の進出支援では最大級 (既に100顧客超え) と言われる弊社ですが、今回は進出後の具体的な現地実態の証明方法やアドバイスなどを記載します。こういった設立後のサポートなども、MDSがここまで多くのクライアント様に支持される理由です。
また、弊社が設立している会社は毎月リアルタイムで本社ホームページに記載しております。 また当事業の責任者である竹花貴騎は、大手会社員時代に海外駐在や海外企業のM&A・事業管理・財務調査などを行なっていた経験から独立。現在、自身でもドバイでシステム会社を経営しながら、企業の包括的な財務のコンサルなどを担当。
シンプルになぜMDSが優れているのかを記載します。
❶ 日本の税制理解(海外子会社合算税制)
まず日本に住んでいない居住者の場合は日本で課税されることはありません。例えば、ドバイでしっかり業務を行い、日本企業(自分の会社も可能)から支払いを受けた場合は全くもって問題にはなりません。
この際、多くの方が悪い誤解をしていることがあります。それは日本にいる居住者が、安い税制の国に会社を設立し、そこに経費を払い出したりする事で日本の税金を安くしようという考え。これは明らかにNGです。その低税国に設立した会社に業務の実態がない限りペーパーカンパニー(業務実態がない会社)と見なされます。税務調査などで否認された場合、その海外の会社の支配者(あなた)に対して日本側で課税されます。その会社の株式を個人所有の場合は個人所得、法人の場合は事業所得として、延滞税なども含め通常より高い税金が課せられる可能性が大いにあります。
また、一時帰国中などに得た報酬(例えば講演料や出演料など)は、日本国内で行った業務なので日本で納税する必要があります。このブログでは、タックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)の理解を行いましょう。大丈夫です、とてもシンプルに説明しますので。
❷ 日本とドバイの両企業の関係性
よく弊社の顧客でドバイに移住する際「日本の会社の代表は抜けて移住した方がいいのですか?」などを聞く場合があります。結論「海外に業務実態と合理性がある限りどうでもいい」です。大事なのは、なんと言っても実態です。
例えば、日本のあなたの会社がアプリ開発を受注して、それを人件費が安いベトナムやフィリピン、またドバイなどに設立した別会社に開発を再委託する、いわゆる「オフショア開発」です。これは実際に「現地の方が人件費が安いから」という合理性と、実態がある限り絶対問題はありません。事実、国内のアプリ開発会社でも多く行っています。
次に、上場企業のアパレルメーカーも中国の工場に安いからと業務を発注したりしてます。このように日本の会社の代表か株主かなどは正直関係なく「実際に現地に業務がなされ、それが合理性に基づいているか」だけが論点になるのです。
しかし、基本的にはドバイに移住するとなると日本の会社の経営はできなくなります。なので代表は経営を任せられるようにした方がシンプルに「日本の経営は誰かに任せて、ドバイで自分は事業を行っている」と税務署に説明しやすい状況になるかとは思います。さらにドバイの自社から、日本の自社に何か業務の提供をした際、それが日本の代表としての業務だったか、それともドバイの法人としての業務だったのかという論点になってしまいます。それらを回避する目的でも、代表変更をして「日本の経営には関わっていない」とスッキリ見せることを推奨します。日本の代表変更は登記変更を提出するだけで数万円で終わります。
もちろん、一人会社などの場合や、誰も雇っていない会社の場合もあります。その場合は日本の代表であり続けても全く問題ありません。しかし役員報酬はゼロにしましょう。役員報酬とはそもそもで会社に何か貢献した対価でもらう物です。あなたがドバイにいるなら貢献できるはずがありませんので報酬はゼロが正しいはずです。また日本からの所得があるのも海外居住者と認められる要素としてマイナスです。移住したなら日本では業務はしない、所得は得ない。これをシンプルに守ってください。
じゃあ、日本の会社の株も誰かにあげた方がいいの?と思われるでしょう。こういう方は株式の仕組みからそもそも勉強するべきです。株主とは別に会社の所有者であって、経営者ではありません。なので海外居住者や外国人が日本企業の株を所有したって、それらは日本の税務の論点にはなりません。なぜなら海外で住んでいる限り日本の税務関連は全く関係ないからです。
❸ 実質的支配者という解釈
上記で説明した際に、じゃあノミニー契約(他人名義)ならいいの?などふざけた質問をする人もいます。基本的には「合理的な実態」が一番重要です。合理的な実態があれば本人であろうがノミニーであろうが、誰であろうが関係なく否認されることはありません。 またこれら実態ががない場合は「実質的支配者」としてノミニーであっても課税されることは確かです。
そもそもノミニー契約の目的を課税逃避目的と勘違いしている方が多くいます。ノミニーの目的は基本的に信託などの複雑なスキームでない場合以外は、外資規制などで現地人の名義でしかできない業種(例えばフィリピンであれば飲食業等)の場合、現地の弁護士や会計士の名前を借りる、また会社設立時や維持の会計業務などがある場合の代行役として利用することです。実際に日本から業務を発注して、それが架空の業務で証明できないものだとすると、前述の通り日本の課税対象となります。
逆に、例えば日本から従業員を送り、その方が100%株主で、経営も任せられるという場合は完全に独立した別会社になるのでノミニーとは言いません。あなたが日本にいながらそれらの株式を持ってしまうと、実質的支配者であるとして、業務実態が認められない場合に日本で課税される可能性もあるので気をつけましょう。認められる場合はもちろん問題はありません。
❹ 請求書に記載する金額
例えば第三者との取引であれば、水を一本100円で売ろうが、1000円で売ろうが相場はお互いの合意で決まります。しかし、それがもし関係会社であればどうでしょう。関係会社とは「自分・親族・友人の会社」だけではありません。実際にノミニーを使っていても実質的支配者と解釈されれば関係会社になります。
この場合「相場は都合よく操作できるもの」とみなされ、第三者との取引よりも厳しくみられます。しかし関係会社だからといって取引しちゃいけないなんてことは全くありません。この際に出てくるのが移転価格税制です。簡単に言えば「取引が正しい相場」で行われているか。この正しい相場は正直誰にもわかりません。しかし基本的には以下3点に気をつけましょう。
1- 支払った経費に経済合理性があるか
いくら払ったとしても将来的にリターンが見込めるのであれば問題ない。ずっと赤字を出し続けているのにそもそもで経費を支払い続けるのは不自然です。日本にも長期的に見た時に必ず利益が出る条件が必要です。
ここでいうポイントは「長期的」です。 例えば月々10万円のHP制作を日本で受注して、ドバイに開発委託で100万円払ったとしましょう。これは短期的には赤字に見えて、おかしいですよね。しかし、もしそのHP契約が3年間だとすると360万円の売上に対し、100万円の制作原価は特に相場にずれがないですし、経済合理性があります。
2- 過去第三者との取引相場
実際に、水は一杯いくらですか?これは正直税務署もわかりません。日本がドバイに水を1000円で仕入れてたとしても、過去の第三者との取引で1200円だったとしたらこれは合理性の説明ができます。過去の第三者との取引実態が一つ相場の指標として証明することは可能です。
3- 業界の相場
業界で見積りを何社かにとってもらいましょう。実際にその見積り金額が証明になるでしょう。例えばSNS運用を何社かの見積もりにをもらった際に月に50万円だったとしましょう。その金額と大きく離れていなければ否認されることはありません。
❺ 実態証明の保管
ではドバイから日本に請求を行う場合、どのように実体を記録していくべきなのでしょうか。ここが一番重要です。例えば日本側の会社に税務調査がくるのは何年後かもしれません。その際に「5年前の取引実体を説明しろ」と言われても覚えてる人なんていません。しかし説明責任は経営者にあります。
これらを記憶に頼るのではなく形として残して明確に説明できるようにしておきましょう。シンプルに2つです。
1- 合理的な金額の決定
例えばドバイのあなたの会社が、日本の化粧品の顧客を一人紹介するごとに売上から20%のキックバック(アフェリエイト報酬)をもらうという明確な基準を記載しておきましょう。他にも、例えばSNS運用代行費用、月々XX万円などです。
2- 請求書に実体を添付して送る
例えばSNS運用であれば、投稿や編集をした写真、レポートを追加資料として日付を記載し添付しましょう。(結局言われるのは日本の会社なので、ドバイ側で納品書をしっかりしてあげることが重要です)
Googleドライブにそれら資料を追加し、そのリンクを請求書内に記載しておくのも一つの方法です。またはGyazoというスクリーンショットアプリ(月数百円程度の有料版がおすすめ)で記録を最低7年間以上は保存しましょう。これらリンクを請求書にも記載しておくと明確に説明できるでしょう。
サンプル:こちら (以下画像の請求書内のURLを開いた場合)

❻ これらをやらないと大変!
基本的に日本から税制が安い国に経費を払い出している場合は、通常の税務調査よりも厳しい視点で見られます。しかし、その国で実態があり、業務を行なっており、それを裏付ける証明がある限りは現状の日本の税制では否認はできないのです。
しかし、逆にこれをやっていないことで数年に一度入る税務調査で実体を証明できないが故に、延滞税などを取られてしまう。また架空支払いとして悪質な場合重加算税(調査官の成績になるので)も狙ってくる場合もあります。しっかりと実体証明の記載と保管は、ドバイで業務を行う限り最重要事項として実施しましょう。
❼ ドバイ決算や法人税について
2023年6月から法人税9%が導入されこれにより毎年の「決算」という概念が出てくる予想です。ほぼ日本や国際的な国々と同じ基準ですが、唯一違う点として赤字を永久に繰り越せることとなっています。計算式は以下です。 ・過去12ヶ月間の利益がAED 375,000を超えない部分に関しての法人税率は0% ・AED 375,000を超えた分に対して9%の法人税が課税予定 例えばあなたの会社が500,000AEDの利益があった場合(500,000-375,000)×9%=AED11,250の納税となります。しかし個人所得税に関してはかからないので給料としての払い出し分などは経費になるため、それらを多く形状することで実質無税は引き続き継続される、モナコやその他タックスヘイブンと同様の仕組みはあるようです。
❽ドバイのVATについて
VATは日本の消費税だと思っていただければ大丈夫です。税率は5%ですが、日本と同じくある一定未満(売上AED375,000未満)の法人に対しては申告および納税が不要になります。VATを申告するためにはまず、ドバイの税務署FTAに自分の法人がVAT対象の事業者であると届け出る必要があります。届出をする義務があるのは以下の条件に合う法人です。 ・過去12ヶ月間の売上がAED 375,000を超える場合 ・今後30日以内の売上がAED 375,000以上になると予想される場合
また以下に該当する場合は任意でVAT事業者としての届出をすることが可能です。 ・過去12ヶ月間の売上もしくは経費※がAED 187,500を超える場合 ・今後30日以内の売上もしくは経費※がAED 187,500以上になると予想される場合 ただVAT登録にはそもそもで2ヶ月以上かかる上に、その間に万が一これら上記売上を超えてしまった場合でも申請中の金額に罰金がかかってきたりすることは原則ありません。
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