ドバイを含む海外に移住した方が現地で(A)経済活動実態がある法人で、(B)実態業務に基づいて 日本にある自分の会社(株主であろうが代表であろうが)から支払いを受ける事は全く問題ありません。 但し移転価格税制(関連会社間の取引時の相場の適正性)に基づいていればの話です。 難しい話になりますが、本当にシンプルに「実態があり、その実態が相場に基づいていればいい」という事です。
ここで重要なのが実は日本側の税務視点なのです。
まず上記(A)の経済活動は弊社の顧客はほとんどクリアしている状態だと思います。
あなたが海外居住者である限りは原則海外子会社合算税制も対象にならないはずです。
詳細は(こちら)のアニメーション解説動画を見てください。
このブログでは最も「業務の実態」について解説をしていきます。
これは日本側でもそうですがドバイ側の会計視点においても重要ですのでしっかりと理解してください。
まずドバイ行政指定のテンプレート項目において請求書の作り方は以前こちらで解説しました。
今回はこの請求書にどのようにして業務実態を記載するかについて解説していきます。
❶ 関節取引の場合
例えば営業活動が日本にある場合(美容院や飲食などの店舗系、または営業代行会社等で対面などの場合)はドバイに直接売上ではなく、一度日本の会社で売上計上をして、そこでドバイがあなたの日本の会社に提供した役務価値に基づき請求を立てます。
そうです、あなたの関連会社間同士の取引になるわけですので、一番実態の証明を求められるケースです。
その場合はしっかりと実態をその請求書に記載しましょう。
以下の請求書のように記載をすると一瞬で業務実態や、何に基づいての請求なのかがドバイ側、また日本側でも一目瞭然になります。
例えば「ZOOM研修をしました」ではなく、ZOOMでいつ、誰が、どのようなアジェンダで研修を行ったのか、などもしっかりと残すべきです。
こちらに実際に私が請求書に貼り付けているレポートを記載しますのでダウンロードしてみてください。 (実際の竹花の業務レポート等) 70ページ以上のレポートなので「ここまでやれ!」とは言わないですが、ただこのぐらいしっかりとレポートを記載しておかないとリスクがあると考えてください。 また基本英語で作成する必要がありますが、日本側でもわかるように日本語も添えてあげると税務調査官もわかりやすく助かるでしょう。 僕はちなみに、GyazoというPCブラウザアプリを使うとスクリーンショットなども全て残るのでそれらを請求書に貼り付けてもいいです。 私の場合は業務において、よくスクショを撮って「このデザインは、こうやって修正したらいいのでは?」とか細かい部分まで顧客に対して指摘する場合があります。 それら細かい内容もスクショで全て残り、さらに月毎にこのように分ければ「具体的にどういう業務のサポートをしていたか」なども全て証明になりますよね。 またSNSやその他メディアなどはアカウント名を将来間違えって変えてしまったりすることで、投稿のリンクが勝手に消えてしまったりすることも多々あります。
そうすると業務証明が消えてしまうということなので、SNSの投稿リンクなどではなく投稿をGyazoなどでスクショしたスクショのリンクを貼ると安心です。
❷ 直接売上の場合
営業活動も一切日本になく(オンラインサービス・コンサルティング・マーケティング事業等)の場合、日本の第三者の顧客から直接売上を受けられる為、相場など気にせずお互いが合意した金額で取引が原則可能です。 第三者同士なので相場の操作はできないのでお互いが合意した金額が「相場」として認められます。(コンビニで水は98円だが、銀座のレストランでは水を2000円で買うのと同様) 例えばこの場合、ホームページの制作会社を経営しているとすると、受注をドバイ本社で行って、その制作に外注先を利用したりする場合があります。
通常であれば日本の顧客からの売上をドバイで受け、ドバイ法人から外注先に支払うという当たり前のスキームになります。
しかし、中には顧客がドバイへの海外送金などハードルが高くできない場合もあると思います。その場合は、以下の図のように一旦日本の会社で預かり金として預かり、月末などにまとめてドバイに振込をかけるなどでも税務上は全く問題はありません。 ただし預かり金処理は原則短期間の計上処理であるべきで、半年以上も預かり続けるなどをの場合は売上金計上とみなされる場合もあるので、あくまでも便利上の理由で一時的に預かって、諸々の処理をしたらすぐに残り分をドバイに振り込むように注意しましょう。 また、実際に外注先が日本にある場合、わざわざ一旦日本からドバイに振込をし、またドバイから日本の外注先に振込とコストもかかり経済的にもデメリットが生まれます。 そこで日本の会社が一時的に預かり、その預かったお金から必要経費を計算し、ドバイに振込前に日本側で支払い精算をしてからドバイに振込むことも全く問題ありません。
その場合はそのような「計算業務」を日本側の会社が行ってくれてる訳なので必ず1%程度の手数料をしはらうようにしましょう。 これを無料で行うとドバイ法人の業務を日本側が金銭的メリットなしで手伝っている=実質同一業務と見做される場合があるので、あくまでも日本の会社は「1%儲かるからやってあげている」という見せ方が重要です。 こういう細かい部分も税務調査官に変な誤解を生ませず正しく理解していただくためにも重要です。
またその場合ドバイ側から発行する請求書は、顧客に発行するものではなく日本関連法人に発行する請求書(精算書)が正しいものとなります。 この場合請求書は以下の二つ必要になるということです。 ❶ ドバイ法人が顧客に対して発行する請求書だが、振込先は日本関連法人 ❷ ドバイ法人が日本関連法人に対して発行する請求書(精算書) 特に注意するべきは❶の部分で、もしこれが日本関連法人の名義で日本の顧客に対して請求書を発行してしまうとこれは「日本での取引」になります。 あくまでサービスを提供して請求するのはドバイ法人ですので請求書名義は以下の画像のようにドバイ法人にして、振込先だけを日本関連法人にするようしてください。 簡単に言えば「本当はドバイが請求しているが、便利上の理由から振込先は日本の会社でいいよ」ということです。
この請求書はドバイの決算では利用しない請求書で「クライアントの便利上の為に発行しているもの」だと考えてください。
その為日本の送金時の銀行や税務調査時、またドバイの決算には一切利用しない請求書です。 そこで別途「精算書 兼 請求書」作成して行政や銀行にはそれらを提出します。
これはとても簡単でドバイ側の売上がいくらで、経費がいくらで、利益がいくら。
「この利益額=送金額になるからドバイ側の会計ではこの精算書通りに処理してくださいね」と分かりやすくシンプルになります。
もちろん、ここで重要なのは経費の科目です。ドバイ側の決算書を出す際に、何にいくら払ったのかを明記する必要があるため必要です。
これらの詳細がないと、ドバイでは経費が一切ない不自然な決算書が出てしましますので、日本側の預り金から支払った詳細をしっかりと記載しましょう。
預り金から支払った経費が数個であれば請求書内に直接名目や詳細を記載、もし数十個以上あるのであればそれらをドライブに経費一覧としてまとめてそのリンクを請求書に貼ってください。
このように細かい手続きや記載を行うことにより将来数年後の税務調査、銀行からの内容調査、さらにドバイ側のFTAへの説明時もとても簡易化できて安全な法人維持が可能となります。
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